脊髄小脳変性症/多系統萎縮症/進行性核上性麻痺

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2024年08月29日公開日時:2025年06月09日最終更新日付:
脊髄小脳変性症/多系統萎縮症/進行性核上性麻痺

脊髄小脳変性症

脊髄小脳変性症(SCD)は、神経の変性といわれる変化が主として小脳や脊髄に生じることにより様々な症状がみられる病気です。脳梗塞や脳出血、脳腫瘍、感染や免疫の異常による炎症などによるものは含みません。変性というとわかりにくいですが、神経が通常の加齢による変化に比べより早く年を取っていく、というイメージに近いでしょうか。 脊髄小脳変性症には、原因として遺伝子異常によるもの(遺伝性、約30%)とそうでないもの(孤発性、約70%)があります。その他に、脊髄の症状を主とする痙性対麻痺も脊髄小脳変性症に含まれます。

 

  • 小脳、脊髄の変性
  • 遺伝子異常のものとそうでないものがある
  • 明確な性別差はない
  • 発症年齢は病気のタイプにより大きく違う
症状

小脳は体のバランスや筋肉の動きを調節する役割を持っており、脊髄は手足にいく運動や感覚神経、自律神経などを含んでいます。このため、小脳や脊髄の変化により、ふらつき、まっすぐ歩けない、しゃべりにくい、手が使いにくい、足のつっぱり感、尿のでにくさ、血圧の変動などの症状がみられやすく、こうした症状が、いつのまにか始まり、ゆっくりと進行するのが特徴です。 

原因

孤発性SCDの原因については別記の多系統萎縮症も含めよくわかっていません。  遺伝子が関与するSCD(常染色体顕性という遺伝型をとるタイプをSCAと呼びます)では、SCAだけでも40を超える原因遺伝子が確認されており、発症にいたるメカニズムなどが明らかになってきたものもありますが、まだ原因がはっきりしないものも少なくありません。 

検査・診断

脳MRIで小脳や脳幹部、脊髄などに萎縮(やせ)や信号変化を認めることがあります。また、脳血流シンチグラフィーやDATスキャンなど放射性同位元素を利用した機能画像検査で、小脳や脳幹、線条体の機能低下や萎縮を反映した変化を認めることがあります。  SCDにみられる症状や経過、診察所見があり、上記検査でSCDを示唆する結果が確認され、かつ、他の原因が除外できる場合にSCDと診断されます。 

SCDに含まれる病気

遺伝性SCDはSCAといわれる常染色体顕性遺伝によるものだけでも40種類を超える原因遺伝子が特定されており、他の遺伝形式をとるものも含めると膨大な数にのぼります。  孤発性SCDの中には、皮質小脳萎縮症(CCA)や多系統萎縮症(MSA)が含まれます。CCAは純粋な小脳性運動失調のみを認め、遺伝性や他の原因を除外できた場合に診断できますが、未知の免疫異常などによる病態あるいはMSAやSCAの一部を含んでいる可能性もあります。MSAは頻度が高く、多彩な症状を呈する病気のため、SCDとは別項目で取り上げます。 

脊髄小脳変性症  孤発性  皮質性小脳萎縮症  痙性対麻痺 
多系統萎縮症 
遺伝性  常染色体劣性遺伝性 
常染色体顕性遺伝性

発症年齢

常染色体顕性遺伝を呈するSCAでも、SCA3/MJDやDRPLAなど10歳代で発症する場合(多くは30~40歳前後)もあれば、SCA6やSCA31のように多くが50~60歳前後の場合もあります。また、同じSCAでも、遺伝子変化の違いによって発症年齢や臨床症状が大きく異なることも知られています。親から子に遺伝子変異が受け継がれる際に、変化がより「強く」なることで、子の発症年齢が低下する現象もみられます

遺伝子の検査

遺伝性脊髄小脳変性症が疑われる場合には、確定診断のために遺伝子検査を行う場合がありますが、保険医療の範囲で検査できるものは比較的頻度の高いものに限られています(SCA1、2、3、6、7、8、12、17、31、DRPLA)。また、遺伝子の問題は患者さん本人のみならず、ご家族や親族へ与える影響も大きく、検査前後を含めた遺伝カウンセリングによるサポートも重要になります。 

小脳性運動失調

体の中心をまっすぐに保つことができなくなり、歩行時に左右や前後にふらつきやすく、バランスを保つため足を開いて立ったり歩いたりするようになります。手足や口回りに症状が目立つ場合には、食事のときに口まで食べものをうまく運べない、靴に足を入れにくい、呂律が回りにくい、飲み込みにくい、などの症状がみられます。症状が進行すると、転倒や誤嚥の危険が高まり、歩行に杖や歩行器、車いすの使用が必要となったり、食事の内容や食べ方に工夫を要するようになります。 

痙縮

両足のつっぱり感がみられ、棒のように固くなり、平地の歩行のみならず、階段の上り下りが苦手になります。ときには足の痛みを伴うこともあります。 

自律神経症状

立ちくらみ(起立性低血圧によるめまい、気が遠くなったり、気を失うことも)、排尿異常(出にくさ、頻尿、失禁など)、便秘、汗をかきにくい、男性の場合は勃起不全(ED)などがみられることがあります 

治療

病気を根治あるいは進行を抑制する治療法はまだありません。病気の原因や病態の解明が進みつつあり、いずれ原因や病態の応じた治療法が確立されるものと期待されますが、まだ時間がかかるようです。現時点では、小脳性運動失調や痙縮、自律神経症状などの症状に対する対症的治療とリハビリテーションが治療の中心となります。  小脳性運動失調には、内服と点滴で使用できる薬剤があり、患者さんの状態などによって使い分けています。痙縮や自律神経症状に対しても症状やその程度に応じて必要な薬剤の使用を考えます。高度の嚥下障害や自力で痰を出せなくなった患者さんには、胃ろう造設や気管切開術などが行われることもあります。 

生活継続のサポート

病状の進行に伴い、介護負担の増加や医療処置の必要性が増えていくことが多いですが、当院では患者さんがご家族とともにできるだけ長く安全にご自宅での生活を継続するための様々なサポート体制の構築にも力を入れています。

多系統萎縮症(MSA)

多系統萎縮症(MSA)は孤発性脊髄小脳変性症(SCD)に含まれる病気です。孤発性SCDの約70%を占める病気ですので、全SCDの約半数はMSAということになります。全国で11000人、北海道で600人ほどの患者さんがいらっしゃいます。神経の変性疾患というと高齢者の病気と思われがちですが、MSAは40~50代で発症する例が10%を越えており、高齢者にしかみられない病気というわけではありません。あきらかな男女差はありません。

 

  • 自律神経症状に加えて、小脳症状が中心のものとパーキンソン症状が中心のものがある 
  • 明確な性別差はない 
  • 高齢者に多いが1割が40〜50代で発症 
MSAの症状

他のSCDと同様に、小脳性運動失調が症状の中心になることが多いのですが、なかにはパーキンソン病と区別がつかないような症状で発症する場合があります。小脳性運動失調が主症状であるものをMSA-Cと呼び、日本人では70~80がこのタイプです。残りの20~30%はパーキンソン症状が主症状である場合で、MSA-Pと呼びます 

「多系統」の意味

「多系統」という名前がついている理由は、もともと別の疾患と考えられていた3つの病気、①小脳性運動失調が中心となるオリーブ橋小脳萎縮症(OPCA)、②パーキンソン症状が中心となる線条体黒質変性症(SND)、③自律神経症状が中心となるシャイ・ドレーガー症候群(SDS)が、最終的な病理学的所見が同じものであると認識されるようになったことから、複数の異なる神経系が同時にあるいは経時的に障害される病態として、多系統萎縮症(MSA)と呼ばれるようになりました。 

自律神経症状

MSA-C、MSA-Pのいずれにおいても早期からあるいは病状が進行するにつれて、明確な自律神経症状が出現し、ときには生活を維持する上での強い障害となることもあります(血圧変動による失神、尿閉など)。また、声帯の動きが悪くなったり(声帯開大不全)やのど周辺の筋緊張の変化(喉頭軟化)などにより呼吸しにくくなったり、呼吸のリズムが崩れたりすることがあり(中枢性呼吸障害)、それらが突然起きることもあるため注意が必要です

パーキンソン症状

パーキンソン病の症状をご覧下さい。 

原因

根本的な原因はまだ明らかにはなっていませんが、患者さんの脳の中のオリゴデンドロサイトという細胞の中にα-シヌクレインというタンパク質が蓄積していることが知られており、原因に関する謎を解く鍵として、このタンパク質にまつわる多くの研究がすすめられています。 

診断

上記のような症状があり、診察にて小脳性運動失調、パーキンソニズムや自律神経障害が診察にて確認され、脳MRIで小脳、脳幹部、被殻の萎縮、橋十字徴候や中小脳脚、被殻外側にみられる異常信号などがみられるとき、MSAの可能性が疑われ、Gilman分類などの診断基準に照らし合わせて判断します 

治療

まだ根治療法はありません。小脳性運動失調に加え、パーキンソン症状や自律神経症状が強くみられることが多く、それらに対する薬剤が用いられますが、効果は限定的です。また、他のSCDよりも症状の進行が速く、急な変化が起こるおともあり注意が必要です。嚥下機能や呼吸状態などの病状変化に合わせた対応やリハビリテーション、療養環境の調整やサポート体制の構築などを行っていきます。 

進行性核上性麻痺(PSP)

神経変性疾患のひとつで、発症早期からの転びやすさを特徴としています。40歳以降で発症し、多くは60歳代以上にみられます。平均発症年齢は70歳代前半といわれています。あきらかな男女差はありません。「核上性」という名前は、特徴的な眼球運動障害(垂直性核上性眼球運動障害)から名づけられました。 

 

  • 早期からの転びやすさが特徴 
  • 非典型的な経過のものもある 
  • 明確な性別差はない 
  • 多くは60代以降に発症 
症状

よく転ぶ、足が前にでない(足がすくむ)、目のかすみ、目が動きにくい(足元が見にくい)、しゃべりにくい、よくむせる、などがみられやすく、時間の経過の中でそうした症状がそろってきます。認知機能の問題も見られやすいのですが、記憶の問題が目立つアルツハイマー型認知症などと違ったタイプの認知症状が目立ちます(注意、判断力の低下、無頓着、無関心、意欲の低下、など)。 

パーキンソン病との症状の違い

一見パーキンソン病とよく似ており、病初期には症状のみでは区別がつかないことも多いのですが、パーキンソン病との違いとしては、PSPでは転びやすさや足のすくみが早期からみられやすいこと、パーキンソン病のような前かがみの姿勢よりも頭部を後ろにそらすような姿勢が目立ちやすいこと、手足よりも首や体幹部の筋緊張の強さが目立つこと(体軸性筋強剛)、などがあげられます。 

原因

原因はまだあきらかではありませんが、病理学的には、淡蒼球、視床下核、小脳歯状核、赤核、黒質といわれる神経細胞の集まるところに存在する、アストロサイトや神経細胞にリン酸化タウ蛋白(4リピートタウ)といわれる異常タンパク質の蓄積がみられる特徴があり、発症や病状の進行と関連があると考えられています。

検査・診断

MRIで中脳被蓋部の萎縮(断面を見るとハチドリのくちばしのように見えるのでハチドリ徴候とも言います)や前頭葉の萎縮、第三脳室の拡大、などがみられることがあります。  早期からの転びやすさ、特徴的な眼の動き、体幹部に強い筋強剛、頭部を後ろにそらすような姿勢異常など典型的な症状や経過があり、上記のようなMRI所見がみられれば診断は困難ではありませんが、次のような場合は、当初パーキンソン病と診断していたものの、経過の中でPSPと診断を変更することもあります。 

 

  • パーキンソン病に瓜二つのような症状、経過(PSP-P、最後のPはパーキンソンのPです) 
  • 発症からすくみ足や動作緩慢のみで何年も経過するような非典型例(PSP-PAGF) 
  • 上記以外には、PSP-CBS、PSP-PNFA、PSP-C

なんていうのもあります 

治療

根治的な治療法はありません。パーキンソン症状に対しては薬剤の効果がみられる場合もありますが、総じて効果は限定的で、長期間にわたって持続することはありません。転びやすさに加えて注意力が低下するため、転倒による骨折や外傷のリスクが極めて高く、介護者への負担が大きい病気でもあります。進行期には誤嚥や喀痰排出への対応や褥瘡予防なども必要となります。リハビリテーションの継続と療養環境整備やサポート体制の構築が重要です。

佐藤 和則

【監修】佐藤 和則

副院長 / 医学博士

  • 日本神経学会神経内科専門医・指導医
  • 日本内科学会認定総合内科専門医
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リハビリテーション

脊髄小脳変性症のリハビリテーション

ふらつきや転び易さに対して様々な姿勢でのバランス練習を行ったり、手足がグラグラする、揺れてしまって道具がうまく使えないといった生活上での困難さに対して動作の反復練習など、運動コントロールの練習を行っていきます。その他にも、姿勢を保つために過剰に収縮してつっぱってしまった筋肉の緊張を和らげることや、運動の制約から生じる筋力低下に対しての筋力トレーニング、構音障害(呂律が回らない)、嚥下障害(むせる、飲み込みにくい)に対しては、発声発語訓練、呼気吸気のコントロール訓練、嚥下訓練や食事環境調整、食事形態の検討などをその人の症状に合わせて立案し、実施していきます。また病気の進行に合わせて杖や歩行器、握りの安定する太柄の道具など補助具の選定や、操作練習を行っています。  長期にわたる経過の中でその人に合った方法を探し、環境の調整にも関わりながら長くその人らしい生活を続けていけるよう支援していきます。病院のスタッフに話すほどのことではないと思う小さな悩み事の中に、その人らしい生活を送るためのキーワードが潜んでいることがあります。どうかおひとりで悩まず、一緒に悩んで少しでも心身の負担を減らせるように模索していきましょう。

多系統萎縮症のリハビリテーション

多系統萎縮症は、パーキンソン症状、小脳運動失調症状、自律神経症状のそれぞれが主症状となって出現してくる病気です。進行に伴い様々な症状が出現してきた場合、リハビリでは複合したそれぞれの症状に対してアプローチを行っていきます。  例えば、パーキンソン症状には筋肉の柔軟性を維持する訓練や身体全体を使った粗大な動作練習、指先を使った巧緻動作練習などを、そして運動失調症に対しては上記のSCDの方に対するものにも通じた運動プログラムを実施します。自律神経症状としてリハビリ場面で特に気を付けたいのは起立性低血圧で、これにより転倒や、転倒を懸念して活動性が乏しくなり、筋力低下や関節可動域制限などを引き起こしてしまうことがあります。それらを防ぐためにも早期からの運動習慣の確立は大切です。  進行期には筋肉の硬さやふらつきから動き難さは増していき、諸動作に介助が必要となっていきます。リハビリでは動作練習の他に手すりや補助具の選定など環境調整にも関わりながら動作の再獲得や、努力性の軽減を目指して関わっていきます。また音障害(呂律が回らい)、嚥下障害(むせる、飲み込みにくい)に対して、発声発語~嚥下訓練を、パーキンソン症状や失調症状に合わせた訓練プログラムを実施します。経過の中では、一年前にできていたことができなくなった、と病気の進行に気落ちすることもあると思います。やりたいことを一緒にお話ししながらそのためにできることを探していきましょう。

進行性核上性麻痺のリハビリテーション

進行性核上性麻痺は、首周りや体幹の筋肉が特に硬くなりやすく、また目も動かしにくい症状があります。そのため、下に視線が向きにくい状態になります。例えば、食事ではお皿に入っている食べ物が見えず取りづらい・食べづらいといったがあります。進行すると首の後屈(顔が上向き)を認めることがあります。歩行では足元の障害物が見えにくくなり、ぶつかる・つまずくことが多くなり転びやすくなります。そのためリハビリでは、首回りや体幹筋の柔軟性を引き出し、首全体を動かす練習、筋肉の強化や重心移動の練習を反復して行います。

構音障害(呂律が回らない)、嚥下障害(むせる、飲み込みにくい)が認められ、進行により首が後屈ぎみになり、声を出しにくく、飲み込みにも支障が出てくることから、発声発語~嚥下訓練(姿勢調整など)を行います。

足の出し方や食事動作などの日常生活動作を円滑に行えるように助言、指導を行っていますが、ここがやりにくい、この辺はどうしたらいいのか?などの疑問や悩み事がありましたら、たちに相談してください。一緒に考えて、り良い方法を模索していきましょう。 

脊髄小脳変性症・多系統萎縮症・進行性核上性麻痺の看護

脊髄小脳変性症の看護

脊髄小脳変性症の患者さんは、定期的なリハビリや小脳性運動失調に対する点滴治療を目的に入院される方が多いです。身体の揺れや歩行のしづらさ、しゃべりづらさや食べづらさ等の症状が見られます。患者さんによって症状や程度に差がありますので、「どこに、どのような、どの程度の症状があるのか」を観察し、「それらに対してどのような対応方法をとったら良いのか」を考えます。比較的ゆっくりと進行していく病気ですが、症状の進行に合わせて療養環境の調整や生活方法の工夫が必要となることもあります。患者さんや家族にとってどのような療養環境が適しているのかを一緒に考えていけるよう取り組んでいきます。 

多系統萎縮症の看護

多系統萎縮症は、脊髄小脳変性症やパーキンソン病と同じような症状を有する方が多いのでそれらの症状と同様にケアを行います。特徴的な自律神経障害の起立性低血圧は、生活をするうえで工夫が必要です。入院前の様子や今後の療養生活に対する希望などを確認し、患者さんやご家族が安心して生活していけるような関りをしていきます。病期に合わせたケア提供が必要な疾患ですので、外来では、患者さんの精神的なサポート、家族の負担軽減などにも配慮しながら、少し先を予測しつつ関わるようにしています。主治医と十分話し合いながら治療方針を決められるように、必要な時にタイムリーに援助できるように、何を大切にしている患者さんなのか、ご家族との関係性はどうかなど、普段のコミュニケーションを大事にしています。訪問看護ステーションやケアマネージャー、入居施設などとの連携も心がけています。 

進行性核上性麻痺の看護

転びやすい症状が出やすいため、転倒に注意して安全な入院生活を送れるようにします。転倒しやすい場所や場面、原因なども考え、退院後も安全に過ごせるように援助します。呂律が回らずしゃべりづらさが出てくることがあります。患者さんは言いたいことをうまく伝えられないというつらさ、ご家族は患者さんの思いを汲み取りにくいつらさを感じる事があるかもしれません。少しでもコミュニケーションをうまくとることができるような工夫を一緒に考えます。食べものが飲み込みにくくなり誤嚥や窒息を起こしてしまう事もあります。誤嚥しないような食形態や食事姿勢の工夫を考えます。入院中は異常時に早期発見できるよう注意して観察し、退院した後も注意していく点などをご家族へお伝えしていきます。精神面での症状である無気力、無関心は、一生懸命介護されているご家族にも影響を及ぼすことがあります。困りごとが病気の症状であると知ることで、気持ちが楽になることもありますし、対応方法がみつかるかもしれません。ささいなことでも、私たちにお話してください。外来でも在宅での転倒予防を念頭にかかわっています。疾患の特性上、転倒をゼロにすることは難しく、自分のペースで生活される中で、大きな怪我に結びつかないよう情報収集や相談をしています。また、介護しているご家族の負担にも気を配るよう心がけています。