LCIG療法を行う上で大切なこととは?
本ページでは、進行期パーキンソン病の新しい治療法、レボドパ・カルビドパ経腸用液療法(LCIG療法)についてご説明します。現在、LCIG療法は2016年に発売された「デュオドーパ®」という薬を使って行われます。デュオドーパ®を用いたLCIG療法を効果的に行い、生活に役立てるためには、病気や薬剤に関する知識はもちろん、導入を終えた後のサポートも重要です。こうした意味で、神経難病を多く診る医師のほか、看護師、リハビリ、MSWといったコメディカルの経験が大切です。
LCIG療法とは?
パーキンソン病の進行は現在の医療では止めることができません。一日に何回も薬を分けて服用しなければいけなくなった場合、また、それでも日中の活動期に薬の効果が弱くなり動きが鈍くなる時間が目立つようになる時期を、進行期と言います。
進行期のパーキンソン病で、飲み薬の時間や量・組み合わせなどの調整をしても症状のコントロールが難しく、生活の障害が目立つ場合には、医療補助機械(デバイスと呼びます)を使用した治療の対象となります。
そのデバイス治療のひとつに、レボドパ・カルビドパ経腸用液療法(LCIG療法)と呼ばれる治療があります。
LCIG療法では、レボドパ・カルビドパ合剤であるデュオドーパ®(内服薬では、メネシット、ネオドパストンと同じ分類)を、薬の吸収部位である小腸(空腸)に直接投与します。
これらの作用から、進行期のパーキンソン病で問題となる薬の効果の変動や不随意運動といった症状が大きく軽減されます。
LCIG療法の進め方と生活
LCIG療法は、薬の小腸への直接持続投与を行うために、胃瘻と呼ばれる孔を腹部に作ります。そこからチューブを入れて小型の携帯用のポンプを使って薬を投与します。
胃瘻は胃カメラを使用して作成します。胃瘻を作成しても、これまで通り、食事は取れますし、入浴などの日常生活の制限はほとんどありません。
LCIG療法の対象となるかどうかは、詳細な検討が必要になりますが、比較的、治療適応が広く、多くの進行期パーキンソン病の方が対象になります。詳細は、この治療を行っている医療機関での評価が必要になります。
解説■医療法人セレス 副院長 川島 淳
更新■2018/11/13